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おやすみ王子第3夜のネタバレ!村田 沙耶香「大きな星の時間」

今日は眠ることを考えさせられてしまう物語です。

第三夜 大きな星の時間 村田 沙耶香

ある女の子が、パパに連れられて、遠い遠い国にある、小さな街に引っ越してきました。
パパの仕事の都合で、これからはここで暮らすのだと言われました。
「この国は、少し変わってるんだ」パパは女の子に言いました。
「誰も眠らないんだよ」
「じゃあ、夜はどうするの?」
「暗くなっても、夜にならないんだ。だからいつでも外をお散歩していいんだよ」

女の子は少しうれしくなりました。
暗い時間にお散歩をしてもいいなんて、大人になったみたいで素敵だと思ったのです。
「でも、眠くならないの?」
「この街には、崖の向こうから、魔法の砂が飛んできているんだ。その魔法の力で、みんな眠る必要がないんだよ」

その街での生活は不思議でした。
太陽が空に上がって青空が広がると、「大きな星が出てきた」と皆、嫌な顔をして、家に帰ってしまうのでした。
太陽が沈んで、「小さな星の時間」になったときのほうが、街は賑やかでした。
大きな星は、近すぎるし、光が強すぎるし、熱くて眩しいので嫌なのだと、街の人は言いました。
「小さな星の時間」はお菓子屋さんにもおもちゃ屋さんにも子供がたくさんいました。
パパの言った通り、いくら時間が経っても、眠くなることはありませんでした。
女の子は、人が少ない、「大きな星の時間」にお散歩をするようになりました。
おもちゃ屋さんも、お菓子屋さんもがらがらでしたが、光に包まれたこの時間のほうが好きなのでした。

ある日、女の子は、公園で男の子に会いました。
「あなた、大きな星が眩しくないの?」 ベンチで本を読んでいる男の子に、女の子は声をかけました。
「少しも眩しくないよ。僕はこの時間のほうが好きなんだ。街が真っ白に光ってる」

男の子に言われて街を見回すと、確かに、大きな星の光が反射して、公園の滑り台も、向こうの建物も、道路も、白く輝いて見えました。
女の子はつんとして言いました。
「私だって眩しくないわ。前の街では、いつもこの光の中で暮らしていたんだから」
「えっ、きみ、他の国からきたの? すごいな。ひょっとして『眠って』いたの?」
「そうよ」
「いいなあ。『眠る』ってどんな感じ?」
「教えてあげるわ。簡単よ。目を閉じたらすぐよ。色とりどりの夢だって見られるわ」

女の子と男の子はベンチに座って目を閉じました。
けれど、いつまでたっても、以前のようにすとんと眠りの世界に落ちていくことができませんでした。
「あなたが下手だから駄目なのよ。そうだ、このまま街を出て遠くに行きましょう。そうしたら眠ることができるわ」

男の子は困った顔をしました。
「きみ、知らないの? この街に一度住んだら、一生眠ることはできないんだよ」

女の子は驚きました。
「魔法に一度かかったら、一生解けないんだ。
それはすごく便利だって大人は言うけど、僕は眠ってみたかったな」

女の子は泣いてしまいました。
必死に慰める男の子に、女の子は言いました。
「大人になったら、一緒に気絶しましょう」
「『気絶』ってなに?」
「眠るのとそっくりなことよ。
二人ですごくびっくりすることをするの。
そうしたら一緒に気絶できるわ」

男の子は「わかった」と頷いてくれました。
「いつか、一緒に気絶しようね」

男の子は公園の白い花をくれました。
男の子と一緒に気絶したら、きっと素敵だろうと思いましたが、涙は止まりませんでした。
大きな星が、真っ白な光で二人を照らしていました。

 

まとめ

一度その街に訪れると2度と眠ることができなくなる。
私も大人なので「それって便利~いいな~」と思いましたが、眠る時間が無くなると、生活にメリハリが無いし、ずっと意識的に何かしていないといけない。
疲れてもソファに寝そべってテレビを見ていないとやってられない。
そう思うとゾッとするものを感じるのも確かでした。
寝る事は時間がもったいないことではなくて、時間を大切にしようと思わせてくれて、休息もできる、素敵な時間だったんだなと思わせてくれました。

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