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おやすみ王子第1夜のネタバレ!次回の放送予定はいつ

http://www4.nhk.or.jp/P4208/

NHKで驚きの番組が放送されています。
吉沢亮さんが20~40代の女性たちに向けに、
深夜に物語を朗読するという読み聞かせの番組です。

近年、女性向けの恋愛ゲームに人気があるのを意識してでしょうか。
まさかこのような番組をNHKでするとは。。
何だか時代を感じます^^;
NHKの斬新な挑戦っぷりに感動すら覚えます。

とはいえ、朗読される物語はすべて人気女性作家さんが書かれたもの。
物語の内容も是非チェックしておきたいところですね!
今回は第1夜の物語です。

第一夜 ヴァン・ショーの夜 山田 詠美

ぼくの花嫁になった女の子は、いまだ激しい争いの止まない遠い国からやって来た。
両親も兄弟も死んでしまってもういない。
伯父の一家を頼ってようやく辿り着いたこの国で生き延びながら、ぼくに巡り合った。
その時の二人は、まだティーンエイジだったけれども、胸のときめきを大事に大事に育てながら愛に変え、大人と周囲に認められる頃合いを待って一緒になった。
ぼくは、彼女を、可愛い娘を意味する「ルル」と呼んでいる。

恋に落ちた、と気付いたのは、ルルの大きな瞳になみなみとたたえられた涙を見た時だ。
彼女は、ぼくに心を許した証拠を示すために、家族を失った時のことを話そうとしたのだが、ままならなかった。
日常生活では何の支障もなく口をついて出るこの国の言葉が、小刻みに震えて、まったく意味不明のただの音になってしまう。
ぼくは、辛抱強く彼女の言わんとすることを受け止めようと待ったが、その内、声だけでなく、体じゅうが震え始めたので慌てた。
大丈夫かい? と気づかうようにその瞳を覗き込んだ瞬間に悟った。
そこには、平和を当たり前のように受け止めて来たぼくには想像もつかない光景が貼り付いたままになっている。
その激しい怯えの色。
抱き寄せると、それは見る間に悲しみの水に形を変え、重みに耐え切れずにしたたり落ちて、ぼくの胸を濡らした。
なんて、いじらしい湿り気だろう。
いとおしさが、ぼくの腕をせかし、きつく抱き締めずにはいられなかった。

私、ずっとずっと寒くてたまらなかったの、とルルは言う。
夏の暑さの中でも心は凍えたままだった。
ましてや秋が深まってマロニエの葉が落ち始めたりすると絶望的な気持になった。
もうじき来る冬をどう乗り越えて行ったら良いのか、と。

でも……と今、ルルは、安らかな表情を浮かべて、ぼくを見る。
でも? とぼくが尋ね返すとこう答える。
体も心も凍えてしまう夜には、あなたがヴァン・ショーを作って飲ませてくれる。
あんな飲み物があるなんて、私は知らなかった、と。

ヴァン・ショーは、赤ワインを熱くしたもので、パリの冬の必需品だ。
真冬、カフェの外のテーブル席を覆う透明なビニールカーテンの内側に、ガラスのカップを両手にはさんで、ふうふう息を吹きかけながらヴァン・ショーを啜る人々の姿を見ることが出来る。

店によって、さまざまなレシピがあるようだけど、ぼくの作り方はこうだ。
鍋にはちみつと薄切りレモン、あればオレンジ、クローブ、カルダモン、シナモンスティックなどのスパイスをたっぷり、そこに赤ワインを注ぎこんで火にかけるだけ。
食後のデザートにしたりんごの皮を取って置いて、ぶち込んでしまうのもいい。
そして、少し沸騰させたら、ガラスのカップに中身ごと注ぐ。
美しい赤を楽しむために、これはもう、絶対にガラスでなきゃ駄目だ。
シックな赤の小宇宙に、やんちゃなスパイス共とセクシーな果物が揺らめいているという按配。
ぼくは、さらにそこに、オレンジリキュールのコアントローをたらす。
飛んでしまったアルコールを補充して、夢見心地を引き戻すという寸法だ。
後は、カップを両手にはさんで、舌を甘く焼きながら味わうだけ。

あなたの作ってくれるヴァン・ショーは、飲み物であって飲み物ではないのよ、とルルは言う。それは、私が失い続けて来た温かな血、そのものなの。飲めば、私の体にも心にも、再び生命が宿るように思える。

もう二度と帰れない愛する人の故郷に思いを馳せながら、ぼくは肌寒い夜に飲み残しの赤ワインを火にかける。それは、安物の酒にしか過ぎないけれども、ぼくの手によって、愛する人の幸せを呼び戻して、その頬をばら色に染め上げる。そうして、すっかり熱くなった体を抱きながら、愛しているよと溜息をついて、大切な人にもう失わせない何かを夢見て、いつのまにか眠りについて行く。

次回の放送予定はいつ?

読み聞かせというのもって、深夜1時頃の放送です。
リアルタイムで見ると時間的にも眠いから、本当に読み聞かせって感じになりそうですね!

NHK Eテレ   12月24日(土)午前1時25分(金曜深夜)

        12月25日(日)午前0時30分(土曜深夜)

まとめ

著者・山田詠美さんからのメッセージでは
”ヴァン・ショーは、真冬のパリの風物詩とも言えるホットワイン。今、世界では理不尽な理由から故郷を追われて凍えるような心を抱えている人が大勢います。そんな彼らの気持がいつか温められますようにという思いを込めました。”
とあります。
一見、甘い物語の朗読を聞いていたかのような感覚になっていましたが、
この山田詠美さんからのメッセージを読んだら、やはり自分も
今の平和を当たり前に受け止めていると改めて気づきました。
真冬のホットワイン、美味しそうですね。是非飲んでみたいものです。

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